ゲームのプロモーションでCPIを61.5%安くできた動画広告戦略の成功事例 | ゲームのマーケティング情報メディア「Mr.GAMEHIT」ブログ
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ゲームのプロモーションでCPIを61.5%安くできた動画広告戦略の成功事例

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クリエイティブディレクター

佐藤 昭博

先日、「スマホゲームの事前登録プロモーションでCPIを競合平均より63%安くした戦略設計の実例を紹介」という記事を公開し、大きな反響をいただきました。

前回は事前登録期の内容に絞りましたが、今回はその続き、リリース初週とリリース後の戦略、そして今後の展望について、前回と同様、有限会社ウルクスヘブン様にご協力いただき、数値を大公開いたします。

データの公開をご快諾いただいた有限会社ウルクスヘブン様には、改めて深く御礼申し上げます。

ゲーム概要

『もんなし姫騎士団』は、プリンセスたちが『オシゴト』でお金を稼ぎ、ゴブリンに立ち向かうというユニークな設定のゲームです。放置型RPGのお手軽さに加え、やり込み要素も充実した魅力的なタイトルです。

もんなし姫騎士団

プリンセスなのにビンボー?!ゴブリンに経済支配された世界を元に戻すため、姫騎士たちが『オシゴト』でお金を稼いでゴブリンに立ち向かうゲームです。お気楽放置育成系RPGの名の通り、放置型RPGのお手軽さだけでなくやりこみ要素もしっかり盛り込まれており、バトル中のキャラクターとのチャットやチャレンジバトルにハマること間違いなし!

リリース後の戦略概要

運用戦略

RPGゲーム市場で成功するためには、「事前登録期」「リリース初週」「リリース後」という3つのフェーズそれぞれで明確な戦略を持つことが重要です。

前回は「事前登録期」の勝ちパターンのポイントをご紹介しましたが、今回はリリース初週とリリース後それぞれのフェーズにおける勝ちパターンをポイントごとに整理しました。

リリース初週

  1. Google AdsとXの継続活用:特にGoogle AdsでLTVが高いユーザーにリーチし、効率的なCPIを実現。
  2. 動画広告の活用:視覚的に訴求力のある動画広告を中心に配信し、クリック率(CTR)を向上。
  3. 目標:初週ダウンロード数の最大化と認知の拡大。

リリース後

  1. 継続的な広告施策:リリース1ヶ月以降はオーガニックDLが減少するため、広告施策を継続。
  2. 深いKPIの活用:「課金」「10Play(10回以上のプレイ)」などのKPIを基準に広告を最適化。
  3. 目標:安定した成長を維持しつつ、LTVを向上。

メディア選定の理由と戦略

広告施策を成功させるためには、適切なメディアの選定が重要です。今回のプロジェクトでは、事前登録期から一貫して、Google広告とX広告を主要な配信メディアとして選定し、それぞれのメディアの特性を最大限に活かした戦略を展開しました。

リリース初週の成果分析と最適化

目的

リリース初週は、ゲームの売上やプレイヤー数に大きく影響を与える重要な期間です。このフェーズでは、CPIを最適化しつつ、短期間でのユーザー獲得数を最大化することが求められました。さらに、ターゲティングを精査し、よりLTVの高いユーザーを獲得することも重要なポイントとなりました。

施策

Google Adsでは、UAC(ユニバーサルアプリキャンペーン)において「インストール特化」により、初週の段階では幅広い層にリーチしつつ、広告費を最適に配分することが可能になりました。さらに、成果が良いターゲット層に対して重点的に配信することで、CPIの低減を図りました。

X(Twitter)広告では、アクティブユーザー向けの配信を強化し、「RPG好き」×「放置系ゲーム好き」といったセグメントに焦点を当てたターゲティングを実施しました。また、事前登録期に最も効果的だった「キャラクター訴求広告」をさらに横展開し、広告のクリック単価を最適化しました。

クリエイティブに関しては、動画広告を強化し、6秒や15秒の短尺動画を中心に視認性の高い広告を展開しました。特に、キャラクターを前面に出し、ゲームシステムの要素を組み合わせたクリエイティブは、クリック率が大幅に向上する結果となりました。

結果

リリース初週も、競合平均CPIより61.5%安くユーザーを獲得することができ、事前登録期と同様に高い費用対効果を維持しました。特に、キャラクター訴求広告のクリック率は他形式と比べて1.3倍高く、想定を上回るダウンロード数を記録。ゲームの初動を成功に導く要因となりました。

成果の良かった実際のクリエイティブ例

美少女×放置型RPGの広告運用において、ユーザーの心をつかむ戦略は、競争の激しい市場で成果を出すための鍵となります。放置型ゲームは「手軽さ」や「気軽に楽しめる」要素が求められ、さらに美少女キャラクターの魅力を前面に押し出すことで、他ジャンルとの差別化を図ることが可能です。

以下は特に成果の良かったクリエイティブの例です。

リリース後の持続的な運用とLTV向上

目的

リリース初週を過ぎると、オーガニック流入の減少が確認され、広告経由でのユーザー獲得がより重要なフェーズへと移行しました。

一般的にリリース後は約3ヶ月単位でCPIがあがり、競合平均CPIは1年後には約1.3倍ほどに上昇します。

このフェーズでは、CPIの適正化を維持しながら、広告による流入比率を管理し、安定したユーザー獲得を継続することが主な目標となります。

施策

リリース後の広告運用では、広告流入とオーガニック流入のバランスを調整しながら、全体のユーザー獲得を最適化する方針 を取りました。

リリース初週までは幅広いユーザー層に対して広告を配信しておりましたが、リリース後はCTR(クリック率)やCVR(コンバージョン率)の向上を目的とした広告最適化を行いました。
具体的には、CTRやCVRの高い広告フォーマットを優先的に配信し、CPI(インストール単価)の最適化を継続 などの最適化を行っています。
また、Google Adsのキャンペーン設計を調整し、限られた広告予算の中で最大限の効果を発揮できるよう運用を最適化 しましたが、この時点では新たなターゲティング手法の導入は行わず、既存の配信戦略を軸に広告配信を継続しています。

広告のクリエイティブに関しては、CTR(クリック率)の向上を目的に、既存のバナー広告や動画広告を改良しながら継続的なテストを実施。
リリース初週にCTRが高かったバナー広告を選定し、それを中心に配信を継続することで、無駄な広告配信を抑えつつ、コンバージョン効率の高いユーザーの獲得に成功 しました。
また、動画広告に関しては、6秒や15秒の短尺動画を活用し、ターゲット層に最適化したフォーマットで広告を展開。キャラクター訴求の強い広告クリエイティブが引き続き効果的であることが確認されたので、リリース後もキャラクターを前面に押し出した広告を多く活用しました。

結果

リリース後の広告施策では、CPIの適正範囲を維持しながら、広告経由でのユーザー獲得を安定化させることに注力しました。ただし、ROAS(広告費回収率)の最適化や、LTV(顧客生涯価値)を基準とした高度なターゲティングはこの時点では未実施であり、今後の課題として、より収益性の高いユーザーを獲得する施策の確立が求められることが明らかになりました。

キャラクター別の広告パフォーマンスを分析した結果、ミカヅキというキャラクターがダントツで成果を出したことが判明しました。
ミカヅキをフィーチャーした広告クリエイティブは、他のキャラクターよりもCTR(クリック率)が高く、CPIも最も低い水準を維持しており、ターゲット層との親和性が特に高かったことが示唆されています。

この結果を踏まえ、今後は勝ちキャラクターの特定と最適化を軸に、広告運用をさらに強化することが重要になります。

成果の良かった実際のクリエイティブ例

所感と今後の展望

今回の広告運用により、キャラクター訴求の有効性が明確になりましたが、さらなる改善の余地も残されています。例えば、以下のような改善点が考えられます。

1.ターゲティングの深化

  • キャラクターごとの人気データを活用し、より細かいターゲティング戦略を展開する。
  • クリエイティブのパフォーマンスデータを分析し、特定キャラを中心とした広告配信を強化。

2.クロスメディア展開の強化

  • 広告施策だけでなく、SNSやYouTubeなどのプラットフォームを活用したオーガニック施策との連携を強化。
  • X(旧Twitter)での話題化を狙った投稿と広告の組み合わせによるエンゲージメント向上。

3.LTV向上を目的とした広告戦略の再設計

  • 課金データの分析を進め、より収益性の高いユーザー層に向けた配信最適化を実施。
  • CPIだけでなく、ROAS(広告費回収率)やLTV(顧客生涯価値)を指標とした広告運用を強化。

これを踏まえて、改めてプロモーションの全体像を整理して、今後の展望を考えてみました。

プロモーションのロードマップ

リリース期(実施済み)

  • CPIを安価に獲得できる状況を確立
  • 勝ちクリエイティブの発見が大きな要因
  • 目標以上のダウンロード数を達成

DAU成長期(進行中・今後の予定)

  • ノンプロモーションではDAUは減退する傾向にあるため継続的な施策が必要
  • ロイヤルユーザーを育てるための施策強化
  • 広告による新規流入と既存ユーザーの減退のバランスを調整

増益期(将来計画)

  • ARPUは一定値を維持しながら、売上最大化のためにLTVの高い顧客の獲得に注力
  • グッズ販売などのメディア展開でアプリ以外での売上を創出
  • IPとしての価値を高め、多角的な収益モデルを構築

ゲーマー目線で見ても、クリエイターとしての目線で見ても、「もんなし姫騎士団」は本当に良いゲームだと思います。

ゲーマーとして見ると、キャラクターの魅力や世界観、ユーザーフレンドリーなシステムがバランス良く、無料でかなり遊べるのも嬉しいポイントです。

プロモーション担当としての視点で見ると、「もんなし姫騎士団」の絵のタッチは海外のユーザーにも好まれる可能性があり、将来的には海外展開も視野に入れたプロモーション戦略も検討の余地があると考えています。

まとめ

「もんなし姫騎士団」のリリース後プロモーションは、事前登録期から継続的な戦略に基づき、着実に成果を上げています。特にキャラクターの魅力を前面に押し出したクリエイティブ戦略は、競合と比較して大幅に効率の良いユーザー獲得を実現しました。

今後も多くのユーザーに長く愛されるゲームとなるよう、継続的なプロモーション支援とゲーム内施策の両面からサポートしていきたいと考えています。

Mr.GAMEHITは今後も「もんなし姫騎士団」のようなタイトルの成功を支援し、ゲーム業界全体の発展に貢献していきます。他にも多数成功事例がございますので、事例を知りたい方、ゲームのプロモーションでお悩みがある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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佐藤 昭博

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