昨年、Mr.GAMEHITではSteam売上上位タイトルのストア動画を調査し、「動画尺」や「構成」、「訴求内容」などの傾向を分析しました。
あれから1年。年間2万本に迫る新作が量産されていく中で、ユーザーに選ばれるためのハードルは確実に高くなっています。Steam内のストア動画が果たす役割も少しずつ変化を求められているのではないでしょうか。
そこで今年も、Steamの「Best of 2025」にランクインした売上上位100タイトルを対象に、掲載されているストア動画を調査しました。
今回の調査でも、基本的な要素は前年データと比較しながら分析しています。
その結果、昨年と共通する傾向が見られた一方で、新しい変化も確認できました。
特に注目したいポイントを紹介することで、単なる傾向を把握するのではなく「この1年で何が変わったのか?」「今、売れるための戦略とは?」のポイントが見えてきました。
調査概要
| 調査方法 | 調査員による目視調査・分析 |
| 調査対象 | ベストオブ2025「2025年にリリースされたトップ100製品(売上順)」のストア内に動画を掲載しているゲーム(ゲーム数96タイトル、動画数170本) |
| 調査期間 | 2026年2月1日~3月3日 |
対象ゲームは以下のスライドにも掲載した96タイトルです。

対象ジャンルはMr.GAMEHIT独自の分類にて以下の22種類としています。
- アクション
- RPG
- オープンワールド
- シミュレーション
- シューティング
- アドベンチャー
- ストラテジー
- FPS
- サバイバル
- MMO
- ホラー
- スポーツ
- TPS
- バトルロイヤル
- レース
- 格闘
- コミュニケーション
- ローグライク
- ハクスラ
- MOBA
- パーティー
- テーブルゲーム
ストア動画の特徴・変化・発見
2025年の特徴と変化
動画尺の長尺化
売り上げ上位のゲームは全てファーストビュー部分に動画を配置しています。
動画広告は、ゲームの魅力を伝えるためのツールとして、変わらず重要視されていることがわかりました。
「動画広告の方がダウンロードしたくなる」「記憶に残りやすい」というユーザー心理は、こちらの記事でも紹介しています。
動画を複数配置しているゲームは77.1%と昨年(80.9%)よりも減少しています。
複数の動画を掲載しているタイトルでは、世界観の紹介やゲームのプレイ動画のように位置づけることで、動画広告自体の役割を分担することができます。
その一方で、動画を1本に絞っているゲームは、長尺となる傾向にあることがわかりました。理由としては「情報量の増加」が挙げられます。1本の中に可能な限りの魅力を集約するために、「総合的に紹介する」要素が強まり、長尺化するのだと考えられます。
2023年には「短尺化が主流」という記事をご紹介していました。
今回の調査では動画の約6割ほどが2分以内の動画を採用しています。ゲーム数は同じでも、動画数も動画尺も増加傾向にあることもわかりました。
この数年の間でもトレンドは刻々と変化していることが明らかになり、非常に興味深い結果となりました。
ランクに見る特徴
続いて特徴的なのは、プラチナランクのゲームはCTAを100%実施していることです。
CTA(Call To Action)とは、端的に言うと視聴者に次の行動を促すための要素のことです。
例えば、ゲーム関連広告であれば、ユーザーに「今すぐ登録」「PLAY NOW」といったアクションを促すボタンやリンクがこれに該当します。
今回の調査では、売上ランクが高いタイトルほどCTAを積極的に取り入れる傾向が見られました。
特に、プラチナランクの12タイトルすべての動画で、何らかのCTAが確認されている結果は興味深いです。高ランクのゲームほど、視聴後の行動までを意識した設計が徹底されていることが推察されます。
ストア動画は単なる映像作品ではなく、興味を持ったユーザーを次のアクションにつなげる重要なツールとして考えられているのではないでしょうか?もっと踏み込んで考察すると、視聴したユーザーをもれなくプレイ、もしくは購買させるための導線として機能していることがうかがえます。

ジャンル別訴求傾向
昨年の調査でもジャンルごとに特徴が見られましたが、今年はその傾向がより明確になっていました。
メイン動画(訴求)1つのみをジャンルごとに分析したところ、22ジャンル中14ジャンルで世界観訴求が最も多く、「世界観訴求への根強い信頼」があるのではないかと考えられます。
これはゲームに限らずマーケティング戦略のひとつとして重要なポイントですが、消費の主役となるZ世代に刺さる動画は、「コト消費」と「トキ消費」を取り入れた構成という結果が明らかになっています。
改めて世界観訴求とは、ゲームにおけるキャラクターやアイテム、時代背景やエピソード等、プレイヤーがその世界に没入できるようにするための要素だと考えます。
そういった点でも、「体験すること」や「人と一緒に参加すること」に価値を見出す世代に向けた訴求として、世界観訴求は必要不可欠であるとわかりました。
その一方で、アクションシーンを前面に押し出したり、システムやキャラクターを訴求したりと、それぞれのジャンルに応じた見せ方も進んでいることがわかりました。例えばメイン動画単独では5.2%だった戦闘訴求は、メイン動画とサブ動画での合算では14.7%に増加している等、相乗効果を期待した構成になっているのではないかと推察されます。

「売れている動画の正解」が一つあるのではなく、ジャンルごとに最適な訴求方法が存在する。そうした傾向がより強まっているようです。
2025年の発見
発見①:プレイ動画・HUD表示の増加
今年最大の変化として、「実プレイ重視」が挙げられます。
今回の調査で最も大きな変化として感じられたのが、プレイ動画とHUD表示の増加です。
HUD(Head-Up Display) とは、HPといった各種ゲージ(ミニマップ、スコア、残弾数、スキルのクールタイム等)、プレイヤーが状況を把握するために表示される視覚的な情報です。
前年と比較すると、実際のゲームプレイを見せるシーンが増加しており、HUDを隠さずに見せるタイトルも目立つようになりました。一見すると視覚情報はシンプルな方がスマートなイメージもあるかもしれません。もちろん、従来のように世界観や映像美を伝える方法も根強い人気があるでしょう。
しかし、プレイ動画やHUD表示の増加という点から、
- 「実際にどのように遊ぶのか」
- 「ゲームシステムを知りたい」
- 「操作感をプレイ画面で判断したい」
というように、今のユーザーが知りたいのは、もっと現実的で具体的な情報だということも推察できます。
ストア動画に求められる役割が、等身大の魅力を最大限に伝える方向へ、シフトしつつあることも読み取れそうです。
発見②:世界観訴求から、世界観+遊び方訴求へ
ジャンル別訴求ポイントでもお伝えしましたが、そこから一歩踏み込んでわかった発見として、
- 世界観訴求は強い存在感を持っているが、+αまで伝えることが重要視されつつあること
をお伝えしたいと思います。
今年の調査では、世界観+戦闘、世界観+システム等組み合わせて訴求するタイトルが増えていました。
つまり、「どんな世界なのか」に加えて、「その世界で何ができるのか」まで伝える必要性が高まっていると考えられます。
ジャンルによって組み合わせる訴求ポイントにも特徴があり、自社のタイトルに合わせた訴求をうまく組み合わせていく試行錯誤が見て取れると感じます。
ストア動画は、ゲームの雰囲気を伝えるための映像から、ゲーム体験をより明確に伝えるための映像へと、変化しつつあるのかもしれません。
まとめ
今回の調査では、Steam売上上位タイトルのストア動画にいくつかの変化が見られました。
動画尺はやや長くなり、特に動画を1本だけ配置するタイトルでは、世界観からゲームシステム、プレイシーンまでを1本に集約する「総合案内化」が進んでいます。
また、売上上位タイトルほどCTAを徹底しており、ストア動画が単なるプロモーション映像ではなく、ユーザーを次の行動につなげるための導線として機能していることもうかがえました。
さらに今年の調査では、プレイ動画やHUD表示の増加が確認されました。世界観訴求は依然として主流である一方で、「どんなゲームなのか」だけでなく、「どのように遊ぶのか」まで伝えようとする傾向が強まっています。
こうした変化から見えてきたのは、Steamのストア動画が「世界観を見せる映像」から、「ゲーム体験を伝える映像」へと役割を広げつつあるということです。
ユーザーにとってストア動画は、単なる広告ではなく、購入を判断するための重要な情報源です。
だからこそ、動画の長さや構成といった形式だけでなく、「ユーザーに何を伝えるべきか」という視点で動画を設計することが、これまで以上に重要になっていくのかもしれません。
より詳細な調査結果やジャンル別の傾向、各種データについては、無料公開中のホワイトペーパー『Steam売上上位のゲームに関するストア内動画分析調査レポート2026』をご覧ください。
