Mr.GAMEHITが考える動画広告の有用性や重要度は、これまでも下記のような記事でお伝えしてきました。
このたび、売り上げのあるゲームタイトルからデータを抽出し、Steam/GooglePlay売上上位のゲームに関するストア内動画分析調査レポートを発表させていただくこととなりました。
今回はその中からさらに注目すべきポイントに絞り、その“売れるための動画戦略”を紐解いていきたいと思います。
調査概要
調査期間は次の通りです。
予備調査:2024年4月9日~4月30日
本調査:2024年5月10日~6月27日
steam2023年の総収益トップ99のタイトルを集計し、掲載本数、動画尺、ジャンル、ナレーション、言語、訴求ポイント、構成、セクションをそれぞれまとめています。
タイトルのうち『Wallpaper Engine』はクリエイティブツールであるため、実際の対象からは除外しております。そのため、分析は98タイトルよりおこなっております。
また、最新情報では内容のアップデートも見られます。今回の記事は調査期間当時の情報であることをご了承ください。
実際のタイトルは下記の通りです。
動画活用率は100%!
まず皆様にお伝えしたいのは、「Steamランキング上位のゲームはストア戦略に100%動画を導入していること」です。どのゲームも静止画と動画をそれぞれ組み合わせていましたが、動画がゼロというタイトルはありませんでした。
短時間でも多くの情報量を伝えられる動画の効果に期待しての構成だと考えます。
steam戦略の特徴
今回の記事では「ジャンル別訴求傾向」「動画尺傾向」「ナレーション傾向」の3点に焦点をあてて、それぞれの特徴をご説明します。
ジャンル別訴求傾向
ゲームジャンルはsteamのカテゴリーを遵守したものです。具体的にはRPG、アクション、アドベンチャー、シミュレーション、パズル、テーブル、リズム、カジュアル、その他です。
訴求ポイントは、Mr.GAMEHITが考える訴求ポイントの中からマッチしていると思われるものを複数選択したものです。具体的にはストーリー訴求、システム訴求、キャラ訴求、イベント・キャンペーン訴求、コラボ訴求、世界観訴求、グラフィック訴求、戦闘訴求、アクション訴求の9項目を挙げています。
RPGは世界観訴求とグラフィック訴求が同率1位でした。また、他のゲームジャンルに比べてストーリー訴求とキャラ訴求が上位にランクインしていることもわかりました。
アクションとシミュレーションでは世界観訴求が最も多く、システム訴求も高いと言えるでしょう。
steamが公式に設定しているカテゴリーに沿って調査をしていますが、サブカテゴリーまで考慮するとより幅広いジャンルがあると考えられます。
例えばアクションRPGである『Starfield』では壮大な宇宙空間のカットを紹介しつつ緊迫感のある戦闘場面が盛り込まれています。一方で同じくアクションRPGである『ホグワーツレガシー』では敵との対峙や戦闘シーンの一端は紹介されているものの、どちらかというとファンタジー要素の強い世界観やストーリーの方に重きを置いた構成だと見受けられました。
そのような意味では、RPG、アクションやシミュレーションと一口に言っても「何に重きを置いて伝えたいか」によって訴求ポイントはかなり変わってくるでしょう。
動画尺傾向
steam2023年の総収益トップ100のタイトルのうち、動画数は167本でした。
平均動画尺は1分59秒です。もっとも短い動画は20秒、もっとも長い動画は9分48秒とかなり幅があることがわかります。
全体の傾向としては30秒以内の動画尺の割合が40%となっており、続いて31~60秒までが27%となっています。60秒以内の動画が全体の6割以上を占めていることから、「ユーザーに届きやすく効果的な動画尺」に対する企業の考え方がわかるのではないでしょうか。
もっとも平均動画尺が長いジャンルはRPGでした。
世界観訴求、ストーリー訴求、キャラ訴求傾向が高いことがジャンル別訴求傾向よりわかっていますが、構成に盛り込むためにはある程度尺を必要とするのかもしれませんね。
カジュアルやアクションは動画尺が短めです。
他のジャンルと異なり、最小値と最大値の差が少ないことも特徴と考えられます。しかし動画数が3本と少ないこともあるため参考程度に考えるのが良いでしょう。
長尺の動画広告のひとつといえる『The Elder Scrolls® Online』は紹介動画にとどまらず、世界観、ストーリー、システムを余すところなく説明しています。また、「もし自分がこのゲームをプレイしたら?」のイメージが持ちやすいような構成も特徴的です。
反対に、20秒という短時間でもインパクトが大きかったのは、『EA SPORTS FC™ 24』です。「サッカーゲームであること」に紹介を留め、ゲームと現実世界の融合や、選手の蹴ったボールが民家に突っ込むといった迫力でユーザーの関心を惹きつけています。
このように、一口に動画尺といっても、長短で良いか悪いかを決められるわけではありません。ただし、ユーザーに与える印象に大きく影響を与える可能性もあります。その理由についてはこちらの記事もぜひチェックしてみてください!
ナレーション傾向
RPGでは「セリフのみ」31.8%、「ナレーション」22.7%、「ナレーションとセリフ」18.2%となっており、合わせて全体の90%を占めます。動画だけではなく、セリフやナレーションも活用する傾向にあるようです。
一方、アクションでは44.4%、シミュレーションでは56.8%がナレーションもセリフも使わずに動画やBGMのみの構成となっています。
RPGでは世界観訴求、ストーリー訴求、キャラ訴求傾向が高いことがわかっていますが、世界観を紹介したりストーリーの一端を見せる必要な手法のひとつとして、セリフやナレーションを盛り込んでいると考えられます。
アクションでももちろん世界観含めた内容を重要視していますが、動きやシステムに力を入れる構成も多く見受けられます。グラフィックやビジュアル、戦闘やアクションをみせるためにあえてセリフやナレーションを加えない選択もありそうですね。
例えば『エーペックスレジェンズ』では、ナレーションは英語、字幕は日本語とできるだけ多くの地域のユーザーを取りこぼさないような配慮をしているようです。その中で、バトルアクションを中心にゲームのチュートリアル的な紹介動画となっています。
『Call of Duty®』はシーンが2分割されていますが、前半では具体的な解説や説明につながる要素を含まないことで「どんなゲームなんだろう?」という関心を高める効果があると感じます。後半は戦闘シーンを含むダイナミックでアクション性の高い内容を構成しているため、ユーザーにしっかり伝わるものとなっています。
まとめ
今回はホワイトペーパーをもとに、動画広告視点からのsteamストア戦略を考察してみましたが、いかがでしょうか?
データを抽出した客観的なまとめとして、「ゲームの売上に貢献できる動画広告はマスト!」ということがおわかりいただけたと思います。
Steamでは2つ以上動画を配置しているタイトルが多く見受けられました。1つ目と2つ目以降で動画内容の構成を分けていることがほとんどで、市場の評価をアピールポイントとしてもりこんだり、特典・DLCのお知らせをするものもありました。
改めて該当ページを確認すると既に動画広告がアップデートされているタイトルもあり、ユーザーの動向によりブラッシュアップしていることがわかります。
もちろん、ストアによって訴求すべきポイントは変わるため、それぞれに合った動画を作ることが重要だといえるでしょう。
今回は「ジャンル別訴求傾向」「動画尺傾向」「ナレーション傾向」をピックアップしました。世界観やストーリーを紹介したいRPGでは、「セリフやナレーションを活用することが多く、長尺になりやすい」というような相互の関連性も見られます。
所感としては、ランクインしたタイトルは英語圏のユーザーをターゲットにしたような構成が多いなと感じました。日本発のタイトルでは例えば『Yu-Gi-Oh! Master Duel』のように日本語ナレーションのものもありますが、『ペルソナ5ザ・ロイヤル』のように言語を分けて構成していたり、完全に英語対応のみになっているタイトルもあります。
海外発のタイトルで日本語訳を取り入れているものもありましたが、数が多いとは言えないようです。
Steamはアメリカに本社を置くValve Corporationが開発・運営していることや、世界的にみて英語話者が多いというのはもちろん、「市場価値をどこに求めるか」といったところでも構成の仕方は変わりそうですね。
ランクインしたタイトルの中では、日本ではなかなかお目にかからないローカライズされたシミュレーションゲーム(トラックシミュレーション等)も興味深く拝聴しました。
基本的に動画広告は「限られた時間でターゲットにわかりやすく表現する」傾向にはありますが、そこを逆手に取ったような構成もインパクトがありました。「動画だけではわからないから実際やってみたくなる!」といったユーザー心理をくすぐるような魅力があったのは、さすがだと感じます。
今回はSteamの調査を一部まとめたものをご紹介しましたが、本編ではスマホゲームとの比較も準備しております。そちらもぜひご期待いただければと思います!
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